2019年12月、三菱UFJ銀行が、口座維持手数料の具体的な計画を発表した事の影響はかなり大きかったようです。
3大メガバンクの1つである三菱UFJ銀行が導入を始めれば、他の銀行も続いて口座維持手数料を導入する可能性は大きいでしょう。
目次
三菱UFJ銀行による口座維持費の徴収
昨年12月のニュースで、三菱UFJ銀行が取引がない口座に手数料を課す事を検討しているという報道がありました。
2020年10月頃を目処に、2年間取引がない口座に対して1,200円を徴収する案で調整しているようです。
但し、新規に開設された口座を対象としているため、既に口座を持っている人は対象外になるようです。
上記の口座維持費とは別に、三菱UFJ銀行には、長期間使用していない口座に関する決まりもあります。
三菱UFJ銀行では、10年超使用していないいわゆる「休眠口座」に関しては、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」等に則り、預金保険機構に移管される場合があります。
三菱UFJ銀行における「休眠口座」とは、下記のような口座の事をいいます。
◇預金の最終取引日から10年を経過し通知状を郵送しても届かない残高1万円以上の口座、三菱UFJダイレクトの代表口座等
◇預金の最終取引日から10年を経過した残高1万円未満の口座(通知状は発送されません)
他の銀行も追従する可能性
3大メガバンクの1つである三菱UFJ銀行が導入を始めることで、他社が追従することは大いにありえます。
欧米でも、口座維持手数料は取られる事も多いのですが、毎月の入金額や預金額によっては手数料が無料になるケースもあります。
最近は、日本でもネットバンクを中心に、預金額や利用回数などの条件をつけてポイント制を導入し、持ちポイントによりATM利用手数料や振込手数料などを免除するなどの工夫がなされています。
口座手数料に関しても、このようなポイント制や、紙の口座を止めてオンラインでデータ管理すれば無料というように、各銀行によってサービスの違いを打ち出してくる可能性もあります。
このような問題が出てきたのは、以前のように日本の銀行も利益が出なくなってきているからとも言えるのではないでしょうか?
これは、日銀が民間の銀行の貸し出しを増やすために、民間銀行が日銀に預けている預金の金利をマイナスにしたことが背景にあります。
マイナス金利政策下では、民間銀行が日銀に利子を払う必要があります。
2016年1月29日から始まった、この日銀のマイナス金利(現在-0.1%)政策は、既に4年目に突入しています。
この日銀のマイナス金利政策により、民間銀行の経営が苦しくなっているのです。
メガバンクもそうですが、特に地方銀行は大きな影響を受けています。
2019年の10月には、日銀は「必要があれば今のマイナス金利をさらに引き下げる可能性」を示しているので、このマイナス金利政策は暫く続くと見て良いかもしれません。
となると、利益が出ない体質を少しでも解消するために、他の銀行も口座維持手数料を開始することが考えられます。
庶民はどのような対策が必要か?
三菱UFJ銀行の口座維持手数料の開始に関しては、あくまでも新規に口座を開設した人に適用するということです。
ですので、既に口座を持っている方は、ほとんど利用していない場合でも、手数料を取られることは無いので、そんなに心配することは無いでしょう
但し、仮に全ての口座に対して手数料がかかるようなことになれば、利用していない銀行口座は解約してしまえば簡単だと思います。
もしくは、メインバンクをネット銀行へ移すというのも一つの解決策です。
ネット銀行には、普通の民間銀行のような実店舗はありません。
また、基本的に通帳は発行せず、オンライン上での管理のみになります。
ということで、コスト比率が民間銀行に比べて低いため、口座維持手数料は取られません。
(ジャパンネット銀行では、以前月額189円(税込)の口座手数料がかかっていましたが、2012年7月から廃止されています。)
また、当月の利用状況によって、次月のATM手数料や振込手数料などの無料利用回数が決定する、というようなポイント制を導入しています。
ネット銀行の主なお勧め銀行は、楽天銀行、ジャパンネット銀行、住信SBI銀行、ソニー銀行、auじぶん銀行、イオン銀行、セブン銀行、GMOあおぞらネット銀行などがあります。
それぞれ、独自の金利やATM手数料の決まりがあるので、口座を開設する際には、ご自分で比較するのをおすすめします。
ネット銀行・オンラインバンクにも弱点がある
上記では、ネット銀行のメリットなどを述べましたが、ネット上だけで管理する場合、弱点もあります。
当然、気をつけないと、スパムメールによる詐欺や、ハッカーなどの被害に合う事もあります。
また、何らかのシステム上のトラブルで、口座にアクセスできなくなることも考えられます。
特に大きな問題になりかねないのは、自分が亡くなったあとの処理方法です。
例えば、通帳を発行している銀行ばかりと取引している方だと、遺産整理をする場合でも、タンスの中や机の中をあちこち探し回れば、大抵は通帳やハンコなどの大事なものは発見することが出来ます。
しかし、ネット銀行の場合、本人がどの銀行と契約し、いくら入っているかなどの記録を残しておかないと、家族は全く気が付かないことがあります。
ネット銀行の数も多いですし、FXや証券などともリンクしているケースが多いため、投資している方はいくつものネット銀行口座を契約していたりします。
しかも、通常、自分の口座にログインするには、IDとパスワード、そして最近は「秘密の質問」なども必要になってきます。
そのような重要情報は、身近な場所にメモしていると危険なので、PC上の自分しかわからない場所に隠していたり、パスワード付きのソフトウエアにメモとして残していたりします。
そのような情報がわからないと、もうどうすることも出来ません。
また、セキュリティに重要性を感じている人は、自分のPCやスマホにもパスワードを設定しています。
このような方が、突然亡くなった場合、残された家族は非常に苦労することが目に見えています。
「確か、あの銀行と取引してたよな~」と覚えていた場合、何とか調査は出来るかもしれません。
ですが、本人しか知らない銀行に口座を持っていたりすると、どの銀行を調べたら良いかすらわからないので、もうお手上げ状態です。
また、最近は、メガバンクも通帳よりもオンラインバンクへ移行するように薦めているため、年配の方を除けば紙の通帳を利用したことがないという方はかなり多いはずです。
銀行だけではなく、証券会社もネット専業などが数多く存在するので、これから先は、遺産整理などの際に色々と難しい問題が出てくる可能性が多くなるのではないでしょうか?
既に口座維持手数料の開始を始めた銀行
NHK NEWS WEBによると、名古屋市にある愛知信用金庫が、2020年1月以降に開設した普通預金口座を対象に、年間1,200円の「管理手数料」をとるという内容の報道をしています。
『未利用口座管理手数料の新設のご案内』ー。
名古屋市にある愛知信用金庫が去年、こんな発表をしました。
ことし1月以降に開設した普通預金口座を対象に、年間1200円の「管理手数料」をとるという内容です。
2年間取り引きがない口座で、預金の残高が1万円を下回った口座に手数料がかかります。
ことし1月より前から持っている口座は対象外です。
出典元:「NHK NEWS WEB 2020年3月13日」
上記の報道によると、2年間取引がない1万円以下の残高の口座に関しても、手数料がかかるようです。
愛知信用金庫の他にも、既に導入している銀行や、これから導入する予定の銀行は、地方銀行を中心に広まっているようです。
岐阜県にある地方銀行の十六銀行は2018年4月から、一定期間取り引きのない口座などを対象に、同じような手数料を導入。
栃木銀行はことし4月から。
愛知県の岡崎信用金庫もすでに導入。
福岡県のおおかわ信用金庫は今後導入することを決定…。
出典元:「NHK NEWS WEB 2020年3月13日」
経営の苦しい地方銀行は、既に行動を起こしているみたいです。
まとめ
コチラでは、三菱UFJ銀行が、2020年10月頃を目処に、「2年間取引がない口座に対して1,200円を徴収する案で調整している」という情報をご紹介しました。
但し、新規に開設された口座を対象としているため、既に口座を持っている人は対象外になるようです。
メガバンクがこのような施策を導入することで、他の民間銀行も雪崩を打つように続く可能性があります。
このように、以前とは世の中の仕組みが変わっていく際には、自分なりにより良い解決法を見つけて、自分が損をしない方向へ素早く舵を切っていく行動力が必要になると思います。