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タイ国際航空 破産法に基づく会社更生申請!なぜタイ政府は救済しない?

タイ国際航空 破産
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世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、特に大きな影響を受けているのが「ホテル業界」「航空業界」や「飲食業界」ではないでしょうか?

特に人の移動が無くなった「航空業界」は、人件費や飛行機などの維持・リースなどの固定費が大きいため、国の支援がないと資金不足に陥り、あっという間に倒産する恐れがあります。

 

ANAは、早い時期から、日本政策投資銀行や民間金融機関に対し1兆3000億円もの融資枠を要請、これに政府保証や税免税などを含めると、総額2兆5,000億円もの莫大な金額の支援を要請しているとも言われています。

何しろ世界の都市間を結ぶ交通機関なので、国内の状況だけを注視していれば解決できる問題ではなく、全世界的にコロナ禍の問題を解決できないと、状況はあまり好転しないわけです。

 

どこの国のナショナルフラッグキャリアでも、明日にでも危険な状況になるのではという、瀬戸際の状況に置かれているのが「航空業界」なのではないでしょうか?

エミレーツグループの利益計上&従業員削減のニュース

つい何時間か前に、エミレーツグループが20年3月期の決算で、32年連続で利益計上をしたという、暗闇の中で一筋の明るい光とも言える発表を行いました。

そんな好調をアピールするニュースと並行して、今度は3月末時点で10万5,000人強だった従業員を最大30%削減する可能性があると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにしています。

航空業界の中でも優良企業と言われる「エミレーツ」が、このような対応を取らざるを得ない状況だということは、例えナショナルフラッグキャリアとは言え資金力のない中小の航空会社は、あっという間に危険な状況に追い込まれるのが目に見えています。

そんな中、やはりというか、大きな暗いニュースが飛び込んできました。

タイ国際航空が経営破綻?

4月半ばのニュースでは、新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けているタイ国際航空(THAI)について、タイ政府は救済策を検討するための作業部会を立ち上げた、とのニュースが報じられました。

 

ところが、それから1ヶ月ほど経った今日(5月18日)、タイ政府の報道官がロイター通信に語ったことによると

タイ政府は国営のタイ国際航空<THAI.BK>について、当初予定していた救済計画を撤回し、破産法に基づく会社更生手続きの申請を計画している。

出典元:「ロイター/Yahooニュース

と述べています。

報道官によると、国営企業政策事務所(SEPO)は、タイ国際航空の更生計画に原則合意しているとのことです。

この件に関しては、明日の閣議で協議される予定だとも述べています。

 

当初、タイ国際航空がタイ政府に求めていたのは、581億バーツ(18億1,000万ドル)の融資保証でした。

そして、この融資保証案に関しては、政府も同意し救済する予定だったそうです。

なぜタイ政府は救済案を撤回したのか?

では、何が同意していた救済案を覆させたのか?

これは、日経新聞に答えがありました。

 

タイ政府は、約1,800億円に上る公的支援の条件として、最大8,000人の人員削減を柱としたリストラを迫っていたそうです。

これに対し、労働組合や利権を持つ政治家や軍関係者が反発し、調整は難航していたとの事です。

新型コロナウイルスが流行する以前から、既にタイ国際航空は苦境に陥っており、2012年以降は16年を除いて毎年赤字を計上していました。

そして、2019年は120億4,000万バーツ(約400億円)の赤字だったそうです。

 

国営企業ということで、元々高コスト体質であり、さらにLCCとの競争も激化し、中国人観光需要が伸びているにも関わらず、利益には結び付けられなかったと言います。

元々、このような赤字体質の中で、新型コロナウイルスが苦境に追い打ちをかけたのです。

 

日本の企業も、今年に入ってから、例年を上回る勢いで経営破綻する企業が表面化していますが、これまでに経営破綻した企業の状況を調べると、コロナ禍が始まる前から、もう既に苦境に陥っていた企業がほとんどです。

タイ国際航空も、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけていますが、既にもう経営破綻に結びつくだけの理由があったわけです。

 

また、日経新聞によると、

現在は航空券の約8割を代理店経由で販売するが、代金の3割以上が代理店の販売手数料になるケースもある。

この手数料の一部が政治家や軍関係者に還流しているとされ、このままでは「甘い汁」が吸えなくなるとの危機感が頭をもたげる。

出典元:「日本経済新聞 2020/5/12

これらの話は、なにもタイだけに限ったことではなく、インドネシアやマレーシアなどの東南アジアでは、普通に起こっている問題です。

今はよく知りませんが、以前は中国の通関でも公然と賄賂を払っていましたから、今でも特に東南アジアではよくある話です。

 

日経新聞は、

国営企業特有の「甘え」体質

出典元:「日本経済新聞 2020/5/12」

だと、結論付けています。

ネット上の反応

まとめ

航空業界では、ついに恐れていた、ナショナルフラッグキャリアの経営破綻が表面化しました。

これからも、複数のナショナルフラッグキャリアが同様の状況に追い込まれる可能性があります。

 

航空コンサルタント会社のCAPAによると、世界の航空会社の「ほとんど」が、5月末までに倒産する可能性があると警告しています。

アメリカのトランプ大統領は、航空業界に対して580億ドルを支援すると決めていますが、これでも充分ではないと予想する人もいます。

 

日本でも、「ANAやJALも危ない、一つに統合すべきではないか?」という人もいます。

世界のすべての国の状況が好転しない限りは、航空業界やホテル業界に関しては、安心できない状況なのではないでしょうか?

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