新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中の人々を恐怖に陥れていますが、それは健康面だけに留まらず世界経済にも大きな影を落としています。
この新型コロナ禍の経済に対する悪影響は、騒動が小康状態になってからも暫く続くような気がします。
そんな中、新型コロナ禍にチャンスを見出す人達や会社が現れています。
話題の無人店舗ビジネスにチャンス到来?
新型コロナウイルスの感染を避けるためには、下記の3密を避けることが大事であると、厚生労働省や各都道府県の知事などが言及しています。
・大勢がいる密集場所
・換気の悪い密閉空間
・間近で会話する密接場面
コンビニやスーパに関しても、大勢の人が集まる密閉した空間で、店員によって間近にサービスを受ける場所です。
対応する店員にとっても感染のリスクは大きいです。
新型コロナウイルスの感染拡大が収まったとしても、これからの人生において「社会的距離」を気にする人は多くなると思います。
ということで、間違いなく需要は伸びるのではないでしょうか?
現在、少し話題になっている「無人コンビニ600」というサービスがあります。
これは無人店舗タイプのコンビニではなく、グリコの「置き菓子」のようなビジネスです。
飲料がメインの自動販売機を、その他の食品などにも応用して販売するビジネスです。
商品が入った自動販売機タイプの冷蔵ケースを、オフィスの片隅に設置する、あまり場所を取らない無人コンビニになります。
このサービスを行っている「600株式会社」は、2018年6月にサービスを開始し、19年4月までの1年弱で、都内のオフィスを中心に約50ヶ所に「無人コンビニ600」を設置しているそうです。
また、先日「高輪ゲートウェイ駅」開業の記事を書きました。
その記事の中に、AIによる無人決済ができる店舗「TOUCH TO GO(タッチ・トゥー・ゴー)」の事を書きました。
このようなタイプのコンビニは、「無人」というキーワードの他にも、「EC決済」という今の時代にぴったりな機能が合わさっています。
近年、コンビニ業界は、24時間営業と人手不足という問題の他に、飽和状態で利益の確保が難しくなっているという問題に悩まされています。
最低限の人手があれば出店できる無人店舗は、人件費が抑えられるために、損益分岐点が抑えられるというメリットがあるため、これからコンビニ大手も真剣に検討していくのではないでしょうか?
ここで問題になってくるのが、様々な業態で無人化が進むことにより、失業者が増えるということです。
マッキンゼーによると、2030年までに、ロボットと自動化によって、世界で約8億人の雇用が失われるそうです。
「AIに仕事を奪われる人間」という、以前映画で見たような現実が実現してしまう世の中になりそうで、これはこれで心配の種です…
中国では早速新ビジネスが稼働?
新型コロナウイルスが最初に発生した場所だと言われている中国ですが、無人タイプのビジネスが早くも始まっています。
ピンチをチャンスに切り替える柔軟性と、新しいビジネスを立ち上げるスピードの速さは、中国人の右に出る者はいないのではないでしょうか?
何事にも慎重で周りの状況ばかり気にする日本人と日本企業には、中国企業のようなスピード感は全くありません。
インターネット上で一瞬に情報が世界中に行き渡るようなスピード感が重要な現代では、この旧態依然な日本企業のスピード感は、足手まといにしかなりません。
上海には、ロボットがドリンクを作るデジタルカフェ「ratio」というお店があります。
2018年末にはオープンしているので、新型コロナウイルス騒動がきっかけというわけではありませんが、ロボットが主役ということでご紹介します。
注文は店内のQRコードを読み取り、専用の注文ページにアクセスします。
豆の種類からエスプレッソの濃さ、ミルクの種類、フォームなど、コーヒーは細かいカスタマイズが出来ます。
注文した内容は、WeChatのプロフィール写真ともに店内のサイネージ(電子看板)に反映されます。
ドリンクを作るのは、バリスタロボットで、人間の仕事はロボットがつくったドリンクカップに蓋をして、ピックアップカウンターに運ぶだけです。
決済も全てモバイルで済ませるため、店員は最小限の人員を配置すれば良いということです。
マスク姿でも顔認証が可能
最近はマスクが手放せないため、iPhoneを開く時に顔認証が出来なくて、毎回面倒だと感じています。
新型コロナウイルス対策として欠かせないマスクですが、iPhoneの顔認証のようなサービスを利用するときには不便ですよね?
その問題を解決すべく北京の会社はが開発した技術が、マスク姿でも顔認証が出来るというサービスです。
新型コロナ感染拡大を防ぐために、北京の漢王科技が開発したのが「非接触のマスク顔認証システム」の「マスクをしたままで顔認証が可能なゲート」です。
このゲートは、1ヶ月半ほどで実用化にこぎつけ、マスクをせずに通ろうとすると、「マスクをしてくださいと」表示されゲートが開かないそうです。
マスクをしたままでも識別率は99.3%との事です。
また、この会社では、顔認証とサーモカメラでの体温測定を一体化したシステムも開発中だそうです。
無人で消毒を配布するロボット
北京智行者科技有限公司という「自動運転技術」などを手がけるベンチャー企業は、無人で消毒液を散布するロボットを開発しています。
音声で感染防止の注意を呼びかけながら、大きな噴射機を左右に振り勢いよく液体をまいていくロボットだということです。
別タイプのロボットは、国内の病院に既に数十台販売しており、ロボットを使うことで院内感染を防ぐ狙いもあるそうです。
また、CEOの張徳兆氏によると、ヨーロッパやアメリカの複数の代理業者と商談しており、海外市場も開拓しているとの事です。
クラウドパーティー
以前、下記のページで、アメリカでの人気DJによるバーチャル・ダンスパーティーをご紹介しました。
北京でも、同じようなサービスを行っている人気のクラブがあるそうです。
無観客の会場でDJがノリノリで踊っているのを、ネットでライブ配信しているそうです。
自宅からネットライブに参加した人は、何と数万人以上にも及ぶそうです。
視聴者からは、「投げ銭」のような有料のプレゼントを送ることが出来、その一部が主催者の収入になるそうです。
プレゼントが一番多い時には、1回のライブで3,000万円近くになると言うので驚きです。
コチラにも、中国でのクラウドパーティーに関する記事があります。
まとめ
中国の新型コロナウイルス感染の真っ只中である病院でも、隔離している患者に対して、自律型ロボットを利用して薬や食事のデリバリーをしているそうです。
また、自律ロボに搭載されているカメラの顔認証や自然言語処理、遠隔操作の機能を活用しながら、患者に問題がないか遠隔で医師に様子を伝えたりしているそうです。
中国と日本企業の大きな違いは、スピード感にあるという専門家も多いです。
中国の企業は、意思決定スピードが非常に早く、日本企業が上司やそのまた上司に稟議を回して相談している間に、中国企業は既に動き出しているとも言われています。
何か新しいアイデアがあると、考える前に取り敢えずやってみるというのが、中国人及び中国企業のスタンスだと言われています。
世の中はスピード感あふれるインターネットの時代ですが、日本人や日本企業は、まだ紙やFAX、アナログの時代と同じように勝負しているような気がします。
5Gの世界も、直ぐ目の前にあります。
今よりもっとスピード感が重要になってきます。
新しい技術やビジネスは、思いついたら直ぐ始めないと、今の時代では企業として生き残っていくのは難しいのではないでしょうか?
日本の将来が非常に心配な今日この頃です。