2019年のユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に「タピる」が入賞するほど、2019年はタピオカミルクティーブームに沸いた1年でした。
台湾からきたタピオカミルクティーのブームは、やや陰りが見えてきたとは言え、2020年になってもまだ持ち歩いている人を見かけます。
ですが、この半年ほどが勝負だと言う人も多いです。
持ちこたえるのか?
それとも、終焉するのか?
これは、しばらく時間が経ってみないことにはわかりません。
ここで、タピオカとは全く結びつかないような業界が、タピオカブームのおかげでピンチに陥っているというニュースを見ました。
その件について、後ほどお話します。
目次
タピオカブームは、既に3回目?
タピオカブーム自体は、1990年代後半~2000年頃にも日本でブームになっており、一旦収まったものの2008年頃からまた流行り始め、今回のブームはそれに続く第3次ブームだと言われています。
そして、今回のタピオカミルクティーが本格的に日本に上陸したのは、2013年のタピオカミルクティー発祥の台湾の店「春水堂」がきっかけだと言われています。
以前の物と今回のタピオカミルクティーは全く別の飲み物なので、ブームは別物として分けたほうが良いという人もいますが、タピオカ自体は1990年代からよく知れ渡っているので、ずっと生き残っているというのは間違いないです。
個人的にはタピオカに興味がありません
個人的には、一度も今回のタピオカミルクティーを飲んだことはありません。
台湾にも行きましたが、その時にも飲んでいません。
また、これまでのブームの時にも、興味がなかったので飲んだことはありません。
理由は、カエルが大嫌いなので、おたまじゃくしみたいで気持ち悪いからというのと、飲んだ人に聞くと信じられないくらい甘いという理由だからです。
だからといって、ブームを否定するわけではありません。
嗜好品は人それぞれの好みなので、それはそれで良いんじゃなかと…
牛乳や紅茶はタピオカのおかげで特需の恩恵を受けた?
財務省の貿易統計によると、2019年1~7月の「タピオカ」および「タピオカ代用物」の輸入量は、6270万トンと前年同期の2.1倍の伸び率だったそうです。
そして、タピオカミルクティーの販売店だけではなく、外食産業以外にも大きく利益をもたらしています。
プライベートブランドのタピオカ関連商品を販売する、神戸物産(業務スーパーを運営)の2019年連結決算は増収増益で、時価総額も一時は5,000億円を突破しています。
また、タピオカ関連商品だけではなく、牛乳やミルクなどの需要が増え、紅茶業界も前年度比率で約10%ほど輸入量が増えたそうです。
恩恵ばかりではない?中には苦境に陥っている業界も
タピオカブームに引きずられるように恩恵を受ける業界もあれば、逆に苦境に陥っている業界もあります。
それが、精米業界です。
なぜかというと、洗わずにそのまま炊ける無洗米は、タピオカに大きく依存しているからです。
無洗米を作るためには、タピオカが欠かせないそうです。
最初は、意味がわかりませんでした。
無洗米には、何割かタピオカが入っているのかと思いましたが、当然そんな事はありません。
これは、後ほど説明します。
まず玄米には「ぬか」が付いたままなので、茶色い色をしています。
玄米を精米する時には、この表面のぬかを取り除くことで「白米」になります。
ですが、通常の精米では「ぬか」をすべて取り除くことは出来ません。
この残った「ぬか」のことを「肌糠(はだぬか)」といいます。
そのため、「白米」を炊く前には、2~3度洗うはずです。
この洗った時に、まだ米の表面に残っている「肌糠(はだぬか)」が取り除かれるのです。
「肌糠(はだぬか)」が残っていると、臭いが残り炊きあがりがパサパサしてしまいます。
「無洗米」というのは、この「肌糠(はだぬか)」を取り除いた状態の「白米」ということになります。
ということで、「無洗米」は洗わずにそのまま炊くことが出来るのです。
では、なぜタピオカが流行っているせいで業界が苦境になっているのか?
白米を無洗米に加工する際、うまみ層を残しつつ、表面に残っている「肌糠(はだぬか)」を取り除くのですが、タピオカは粘着率が高いため、この「はだぬか」を除去するための熱付着材にピッタリの材料なのです。
そして、無洗米製造業者の中で実にシェア7割を握っているメーカーが「株式会社サタケ」で、このサタケの製造装置の約7割が、熱付着材にタピオカを使っているそうです。
問題は、ここ数年のタピオカブームのおかげで、タピオカ自体の値段が高騰しているのです。
精米業者はタピオカ自体を安価で手に入れるのが難しくなり、当然白米から無洗米へするためのコストが上がるため、従来の売値では販売しにくくなります。。
サタケでも、原料の高騰に対応するために、タピオカ以外の熱付着材を利用した場合のテストを5年ほど前から行っているのですが、タピオカを使った場合と同程度の高品質には至っていないそうです。
精米業者も、タピオカが足りなくなったら、サタケから買い足す必要があります。
また、製造装置の価格自体がそんなに安いものではなく、1台数千万を超える場合もあるため、簡単に他社製品に代替えすることも出来ない状況だそうです。
最近では、米離れが問題になっており、特に若い世代で日本の主食である米を食べない人が多くなっているそうです。
「炭水化物=太る」という風潮もあり、一日に一度も米を食べない日があるという若い女性も少なくないといいます。
そうなると、タピオカ高騰のためのコスト増を安易に価格に反映させることも出来ません。
利益がますます少なくなり、業者が苦境に陥っているというわけです。
また、無洗米は家庭用ばかりではなく、外食産業による業務用無洗米の需要がかなり大きいと聞きます。
無洗米の価格高騰が避けられない状況になると、外食産業にもしわ寄せがいくのではという予測もあります。
米の業界は、このタピオカブームが終焉に向かうのを待っている状況なのかもしれませんね…